やる気のありすぎる人たち

いま山崎豊子原作の『不毛地帯』というドラマを見ている。

元軍人の主人公に総合商社に就職し、バリバリ仕事をこなし出世していくという話だ。
主人公は元大本営参謀という(実は私も詳しくはわからないのだが)エリート中のエリート。
商社の社長からの熱烈なアプローチにより入社するも、はじめは仕事を覚えるのに苦労する。


「棚から何かを下ろすという連絡が入りました」
「なんだ、それは?」
「さあ、私にも何がなんだか……」
「……それは棚卸し(たなおろし)のことじゃないのか!?」
「そうでしたか。すみません」

と物凄いダメな感じなのだが(笑)、次第に才能をめきめきとあらわしていく。


一方で、里井専務という男がいて、やがて主人公のライバルとなっていく。
この里井専務がすごい。一度は病気で一線を退くも、大事な商談となると、貞子のように床を這ってでも会社に行こうとする。
「あなたはご自分の体と社長の椅子のどちらが大事なのですか!?」と絶叫しながら止める妻に「お前にわかるか!」と一蹴。


山崎豊子ドラマを見ていていつも思うのだが、みんなのやる気がすごい。
日曜になるたびに月曜がくるのが嫌だといっている人と同じサラリーマンという仕事をしているとは思えない。
彼らは取締役だからやる気があるのではない。あのやる気があったから取締役まで出世したのだろう。
仕事が他人に担当になり、ホッと楽をしたと思う人もいれば、悔しくて絶叫する人もいる。
世の中にはいろんな人がいる。
ただ、あんな異常なやる気のあるのがいたら、ちょっと頑張るといった程度では全然だめだということを身をもって理解させられる。


不毛地帯(一) (新潮文庫)

不毛地帯(一) (新潮文庫)

ちなみに私の祖父もロシア帰りの商社マンだ。