映画を見て、ガニ股で歩こう

私のマッサージを担当している人が映画が好きなんですね。私も映画を結構見るので、マッサージに行くたびに、こんな映画観ましたよって話をするんです。でもその人は、任侠モノしか見ないんですね(笑)。一度、その人に薦められて『仁義なき戦い』を見たことがあるんですね。これがその人のイチオシの映画なのです。結局、私が何の映画の話をしても、『仁義なき戦い』の話になって終わるわけです。これがめちゃくちゃ楽しい。
その人は相当好きなもので、5回も6回も見て、「いや〜また観たくなっちゃったな、帰りに借りていこうかな」なんて言っているわけです。


日く、「あれを見た後は意味もなくガニ股で歩いてしまいますね」。


映画って、これなんですよ。
見たあとの自己投影こそ映画やドラマの醍醐味なのです。もちろん小説でもいいのでしょうけど、私はやはり映像のほうが強烈な分、自己投影しやすいのではないかと思うのです。
彼は、完全に『仁義なき戦い』という大好きなものがありますから、大事なときはそれを見れば、最初の3歩くらいはガニ股で歩けるわけです。歩きだせば後はなんとかなるもので、これができるかできないかでは大違いなのです。

白い巨塔』というドラマがありまして、その中に財前教授が新聞を破るシーンがあるんです。このカメラアングルがものすごくカッコイイのです。一体だれがこんなアングルを考えたんだっていうぐらいのアングルなのです。
新聞は財前教授に対するバッシング内容です。これを財前教授が車の中で読んでいるわけです。
はじめは新聞で財前教授の顔が見えません。
これをピリピリと縦に丁寧に破くので、破いた側から財前教授の顔が出てきます。半分まで破いたところでピッと一気に破くのです。そのシーンがすごくかっこいいのです。
何かよくない紙が届いたらそうやって破ればいいのです。
都合がいいことに、よくない知らせは大概、紙で届くものです。不合格の通知、不採用の通知、借金の督促状、クレジットカードの明細……どれも破けるものばかりです。気に食わないものは財前教授になって全部破いてしまえばいいのです。

このとき、「私」は、客観かされています。なぜならカメラワークを想定する以上、自分の視点とは別の視点がそこにあるからです。自己を客観化できることは、ストレスを溜めこまない人の特徴だそうです。ぐち聞きサービスの長坂社長が言っていました。
客観化するには好きな文芸作品の好きなシーンを見つけるだけです。
あとはそのシーンにおける主人公の思考回路をインストールするだけです。


さあ、街を出てガニ股で歩こうではありませんか。

  • 参考-

仁義なき戦い [DVD]
白い巨塔 DVD-BOX 第一部


私の好きな映画

時計じかけのオレンジ [DVD]
@誰が好きというわけじゃないけど、ダークな雰囲気のいい映画ですね。主人公の変態っぽい感じが好きかな。
俺たちに明日はない [DVD]
@これは、ボニー。このノリで生きていきたいと思った映画。
大脱走 (アルティメット・エディション) [DVD]
@ビックX熱いですなあー。特に何をするわけでもないんだけど、カッコイイリーダーだよね。あとこの映画に女性は出てきません(笑)。