物の定位置を決めよう

前回は仕事がひとつ終わったら、机を拭こうという話をしました。
ところが、それをするには前提として机の上が既に何も置かれていない状態でなくてはなりません。というのも、いま終わった仕事に関するものは片づけられても、ずっと前から置いてあるものが机の上にあったのでは、机を拭くことができません。
私の母は、「アンタの部屋は物が散らばってて掃除機がかけられない」とよく言っていますが、布巾でちょっと拭いたり、掃除機をかけるには物があってはダメなのです。あったとしてもちょっと持ちあげてすぐ拭ける範囲内でなくてはなりません。そうすると、机の上にあっていいものは、スタンドとパソコンくらいになります。ですから、お寿司の板前さんのようになるには、一度そういう状態にしないといけないんですね。
そのためには物の定位置を決めることです(『佐藤可士和の超整理術』88頁参照)。例えば、私の部屋が汚いのは新しいものがどんどん追加されていくからです。そうすると、新しいものには定位置がないので、「とりあえず」定位置が決まるまでそのへんに放置します。ところが定位置はもう埋まっているので、未来永劫、新参者の彼らは定位置におさまることはありません。そうこうしているうちにどんどん新しいものが追加される。会社でいうと、新入社員をとりすぎて、机がないから廊下で200人くらい9時17時で決して空かない机を待っているような状態です。
そのためには定位置を空けるか、定位置におさまらないものを処分するほかありません。こうして定位置を作る(ここで重要なのは机は定位置たりえないということです!)。こうやって机を綺麗にしていく。
この段階で、ようやくあの大原則がようやく機能しはじめます。あまりに有名すぎて、言葉そのものが埃をかぶってしまっているあの言葉。ライフハックの中のライフハック。私たちがまだよちよち歩きの頃から言われていた、あの原則です。
――「出したハサミは元に戻しなさい」。

出したハサミを元に戻せる環境をつくろう。




参考文献

佐藤可士和の超整理術