仕事のたびに机を拭こう

お寿司屋さんでカウンターに座ると目の前でお寿司を握ってくれますよね。
あれを見るのが私は好きで、これを何年もやってきたんだろうなあと思うと高いお寿司も安く感じるものです。私たちは、彼らの技術に対してお金を払っているのです。
お寿司を注文すると、板前さんは魚をとって、包丁で捌いてくれますね。お寿司で使う魚はほんの一部分です。それだけなのに板前さんは一回一回包丁を拭いて、まな板を拭きますね。それを見るのが好きなんです。
板前さんにとってのまな板は私にとっては机です。ところが、机が汚い人は、一回一回拭くどころか今月拭いてないとかそういうレベルです。それどころか物がたくさん置いてあって作業場ではなく物置になってしまっています。作業する場所というのは何も置かれていないことが原則です。喫茶店もお客さんが変えると、そのたびに机を拭きます。だから喫茶店だと仕事がはかどるんですね。仕事はいくつもあります。お寿司屋さんでまぐろひとつ食べて帰る人はいません。一人のお客さんに食事を提供するのに、板前さんは何度も何度も机を拭くのです。私たちも細かい仕事がひとつ終わるごとに机を拭いてみる。結果として、板前さんのようにひとつの仕事(一人のお客さん)をもてなすのに何度も何度も机を拭くことになります。もちろん板前さんがまな板を拭くのは衛生上の問題です。私たちが机をいちいち拭かないのは適正な効率化の観点です。しかし、優雅な仕事という点では板前さんのやり方のほうがずっと優雅です。せっかく何年も働いていて、その道に関しては熟練なのですから、私たちも優雅な仕事をしたいものです。

仕事がひとつ終わったら、机を拭こう。