他人の力を借りよう

そこにあるハサミをとってくれと言ったときに、とってくれない人がいます。
特に家族間だとそういうことが起こりがちです。
私も本を読んでいる時に、親にコップを並べろと言われると面倒くさいなあと思います。
例えば、私がハサミを必要としていて、弟がとってくれない(ちなみに私の弟はとってくれます)。もちろん、お前が必要なんだからお前がとってくるのが当然だろうというわけです。その通りです。いかにも正論です。
後日、弟が、試験のときにうっかり筆箱を忘れてしまった。「悪いんだけど、駅までとってきてくれない」こんなメールを送ります。そんなとき私が「あなたが忘れたのだから、あなたがとりにいくのが当然でしょう」と言ったらどうでしょう。これは嫌な感じがするとか、自己責任とかそういう話ではありません。
そのせいで、弟は多大な損害を被るのです。他人を使えば解決できた問題なのに、他人を使えなかった。そこが問題なのです。
厳しい家庭には、こういう関係が多いのです。自分のことは自分で必ずやる。そういった原則が家族間であるのです。自分で食べた皿は自分で洗う。自分の忘れ物は自分でとりにいく。自分が使うノートのコピーは自分でとる。大変結構です。しかし、それがあまりに硬直的なものですから、困った時に人の手を借りられないのです。

私は昔から、テストのときのノートのコピーだとか、そういった雑務はすべて親にやらせてきました。弟も、読書感想文を私にやらせて、絵の課題は母親にやらせます。その代わり、親が書類を家に忘れたとか何かあったらとりにいってあげます。お使いだってします。
私の親は優秀なので、残念ながら私が役に立つことはあまりありませんが、少なくともそのお蔭で私は他人の手を借りるのにそれほど抵抗がありません。
せっかく友達や家族がいるのですから、相互に助けあって、様々な局面を有利に展開していこうではありませんか。