不得手

不得手なことってたくさんあると思います。
歌が下手。字が汚い。口ベタ。運動神経がない。こういった大雑把なものだけでなく、新しくはじめて、順調に滑り出さないものは不得手といっていいでしょう。
ギターをはじめたけれど、なかなかうまくならない。英語の勉強をはじめたけど、思うように成績が伸びない、こんなものも不得手といってよろしい。
不得手なものの対処法はふたつあります。
ひとつは克服すること。もうひとつは放置すること。
人間の時間には限りがありますから、放置というのは真っ先に考えなくてはなりません。放置して差し支えないなら、放置しましょう。思い切って捨ててしまうと、他の能力が優れたときに、捨てた不得手なものが個性となっていきます。
私はボーリングが下手くそで、スコアが30程度しか出せません。ですが、あいつは運動ができないやつなんだと思われたら、それはそれでいいのです。
逆に、どうしても気になるのなら克服してしまいましょう。克服した場合、自分が苦手だった経験から、人に教えるのが上手になります。
私が前に勉強を人に教えていたとき、どうしても教えるのが苦手だった科目のひとつが英語です。私が英語が比較的得意で、苦しんで記憶がないのです。だから、どこから教えればいいのかわからない。初歩の初歩から教えるといっても、一体何が初歩なのかいまひとつわからない。
逆に最初は全然できなかったものは体系的に教えることができます。
そういうわけで、不得手なものは放置して個性になるか、自分が体系立てて人に教えられる事柄のひとつとなるかどちらかなのです。
かつての自分と同じ苦しみを感じている人をたすけてあげられる。それだけで、生まれてきた甲斐があったというものではありませんか。