実践・「なんとなく」の効用

昨日、ちょっと勉強会に参加してきました。
長年、現場で勤めた講師の方が(といっても普通のサラリーマンなのでそれを生業にしている人ではありません)その分野について、色々と実践的なことを教えてくださるというもの。
参加者のほとんどは強制的に参加させられたもので、一回何万の講演とかに比べてやる気は幾らか少ない。席も後ろから埋まっていくという感じ。
補助スタッフみたいのが「席は前からつめてくださーい」と言ってるので、多くの人は二番目あたりの席からぽつぽつ座りだしなんとか誠意を見せている。
私は一番前に座ったんですね。一応かなり高いやる気があったので一所懸命聞いているのですが、もうひとつ密かな目標があって、それは絶対に頷いていようと思ったんです。
なんでかっていうと、講演とかプレゼンのコツは、一人でいいから、頷いていたり、熱心に聞いてそうなのを見つけて、その人に向かって話しかけるようにすること、というのを読んだことがありましたし、私も実際に話す機会が与えられるとやはり頷いてる人を見るとすごく安心できるわけです。だから、今回は頷いてみようかなという感じ。

その勉強会はみっちり4時間以上の講義形式なんですね。
最初の休憩までの1時間半はずっと頷いていたわけです。休憩のあとは一人一人あてていって、問答形式で進めていくとのこと。
私はこの時点で確信のようなものがあって、最初にあてられるのはおそらく私だろうなと思ったんです。案の定、最初に私があたった。
ところが私にはその解答がさっぱりわかりません。だからといって黙っているのではテンポが悪くなる。そこで、適当な答えをいったらやはり間違えました。
しばらく、順々にあたっていった後に、講師の方が面倒くさくなったのか途中から質問がすべて私に集中してきました。試しにやってみてくださいというデモンストレーションも私でした。特に理由はないのでしょう。「なんとなく」前に座っていて、アホだけど少なくとも何か答えてはくれるし、悪くはないだろうくらいの人選なのでしょう。
他の参加者も、あの前に座ってる人、妙にあてられて可哀想だなくらいに思っている程度でしょう。しかし私は講師の方と強い結びつきを感じました。

勉強会が終わって、講師の方が近寄ってきました。「今日は何度もあてちゃって悪かったね。でもキミのおかげで講義がすすめやすくなったよ。ありがとう」

私は一番前に座って、うなずきながら講師の質問に回答(「解答」ではなく)していただけなのです。
こうして運がよくなっていくのです。