雨の日はヴィトンに駆け込もう

新宿を歩いていたら突然雨が降ってきた。大雨です。どうしようと思ったら、目の前にルイ・ヴィトンがありました。
私はずぶ濡れになって駆け込みました。
「傘をください!」
私はこれを機会にヴィトンの傘を買おうと思ったのです。私はヴィトンのものをひとつも持っていません。これを機会に挑戦しようと思っていたのです。大体、二万円くらいを考えていました。
店員さんが、傘を何本か見せてくれました。ヴィトンは高級ブランドですから、値札がぶらさがっていません。
ひとつお洒落なのがあったので、買うことに決めました。
「これください! すぐ使うから包装はしなくていいです」
もうノリがコンビニのビニール傘です。ヴィトンの店員は変なお客さんがきたと思ったことでしょう。
ところが、傘は四万円以上しました。これはさすがに高すぎると思いました。
「えっ、そんなに高いんですか? じゃあ要らないです。ごめんなさい」
そう言って私はハンカチを頭にあてて駆け出しました。
店員はポカンとした顔をしていました。ヴィトンにずぶ濡れで駆け込んできて、慌てて帰っていく人も珍しいでしょう。
いまごろ、どこぞの田舎者が紛れ込んできたことがあってね、なんて物笑いの種になっているかもしれませんね。
ハイソな人は、高いと思ったらさっと引き上げることができるのです。