やる気と時間の関係

私はコンビニで二回バイトをしたことがあるんですね。
一回目も二回目も両方セブンイレブンです。
一回目は、コンビニが一番簡単なんじゃないかと思ってコンビニにしたんですね。私はどこでバイトしても全然ダメで怒られてばっかりだったんです。それで、コンビニならできるだろうと思ってコンビニにしたんです。本当はカフェとかファミレスとかちょっとお洒落なところのほうがいい。本当はバリバリ働きたいんです。でも実際やってみるとこてんぱんに打ちのめされて結局すぐに辞めてしまう。そんな私がたどり着いたのがコンビニだったんですね。
実際にやってみると、コンビニのバイトというのはたしかに楽なもので、やることはといえば、レジと商品の整頓くらい。商品の整頓というのはフェイスアップといって、おにぎりとかを前のほうに出したり、へこんだポテトチップの袋をきれいにふくらませたりする作業なんですね。これは暇な時にやる作業で、基本的にはレジをやるわけです。
やりはじめて簡単なのはいいのですが、ものすごく暇なんですよ。私は5時間くらい働いていたのですが、時計を見ても1分とかしか進んでない。「うっそ、いま頭の中で130秒は数えたって!」みたいな世界です。ボーっとしていい感じに意識が飛び始めると客がきたり、店長が「おい、暇ならフェイスアップしろよ」とか言ってくるんですね。だから完全に暇というわけでもなく、とにかく退屈。フェイスアップという作業も私は大嫌いで、ポテトチップの袋をうまくふくらませられないんですね。一か所へこんでるからふくらませると他の部分がへこんじゃう。「ったくめんどくせーな、やってらんねェよ」というありふれた台詞を心底実感するわけです。
それで適当にやると「お前、それでポテトチップ客が買うと思う?」とか店長が言ってくるわけです。そんなにパンパンのポテトチップがいいなら、店内の気圧でも下げておけよと思うわけです。「ポテトチップっていうのはこうやって両端をもってこうやってふくらませるんだ」なんて力説するわけですよ。当時、アホだった私は、おいおい、アンタ定年までポテトチップふくらませ続けるつもりかよ、勘弁してくれよなんて思ったものです。

もう一度コンビニをはじめた時は、やる気が結構あって、「労働とは何なのかわかってきたぞ」みたいな座学を積んで、いよいよ実践するかみたいな感じだったんですね。
そうすると全然違うわけです。あれほど退屈だと思っていたコンビニの仕事が全然退屈じゃない。やることは山ほどあるわけです。床の掃除をしたり、元気よく挨拶をしたり、トイレを掃除したり、わりばしが少なくなってきたから補充するとかやることはいくらでもある。やることがたくさんあると、フェイスアップもさっさとやらなきゃいけないから、一気にやるんですね。ポテトチップも片っ端からパンパンパンとリズミカルにやると不思議と膨れるものなのです。
二回目に働いてるコンビニで私とペアの女子高生が言ってました。「みのりさん、退屈で時間経つの遅いですよねえ。みのりさんいっつも店長になんか言われて大変ですよねえ」その気持ちは痛いほどわかります。わかる、わかる、私もそうだったと同意したものです。でも、残念なことに、私は時間が経つがとっても早いのです。そろそろ休憩しようかなって思う頃にはもう帰る時間です。
退屈なのはキミだけで、私はあっという間に帰ってしまっているんですよ、ふふふと思ったものです。

やる気を出そう。やる気がないと逆に労働時間が長くなる。やる気があれば労働時間は半分にも1/3にもなる。やる気もあれば仕事ができるようになる。仕事ができれば体感のではない本当の労働時間が短くなる。
アルバイトは時給だから体感だけの世界ですけどね。