へらへら笑う

私は小さな頃から「へらへら笑うんじゃない」と怒られてきました。
どうもこの界隈では、「へらへら笑う」と怒られるようです。
なんでへらへら笑っているのかは自分でもよくわからないのですが、2つほど考えられる原因があります。
ひとつは小学校に入りたての頃、私は、言語能力が著しく乏しくて、友達や先生の言っていることがほとんどわからなかったのです。だから、真っ赤な顔をして真剣に怒っていても、自分は何について怒られているのかもわからず、これがどういう状況でどういうリアクションをすればいいのかわからずに、ヘラヘラ笑っていたのかもしれません。
もうひとつは小学生くらいだと、先生に怒られると途端に泣きだす人って結構いましたよね。ああいうのって惨めだなあってずっと思ってたんです。私は母親から「あんたはちっとも泣かないわね、心が強いのよ」って言われてきたので、なるほど泣かないほうがいいのかと思って、へらへら笑っておけばいいだろうぐらいに考えていたのかもしれません。
そのお蔭で、小学校の先生にはだいぶ怒られましたが。私が前に同窓会に参加したときに、「みのりさんって(小学校)1年生のとき先生に1時間くらい尻を叩かれてたことあったよね、あれは可哀想だなって思ったのを覚えてる」って言われました。私は少しも覚えていません。たぶんヘラヘラ笑っていたからでしょう。

『殺し屋1』という漫画に垣原さんというヤクザの組長が出てきます。新しく垣原組というのを立ち上げた組長さんです。実はその組長さん、ものすごいマゾで、いくら殴られても(気持ちがいいものだから)ヘラヘラ笑っている。路上で喧嘩をすると、最初は威勢のボウズがぼかすか彼を殴るのですが、垣原組長はいつまでもヘラヘラ笑っている。そのうちにヒェーと逃げ出してしまうわけです。

悪魔が突然の不幸を呼び寄せたとしても、いつまでもヘラヘラ笑っていたら、悪魔の方が逃げていってしまいます。
不幸があってもヘラヘラ笑っていようではありませんか。
ドラクエばくだんいわという魔物が出てきます。この魔物は突然、すごい呪文を唱えて、大ダメージを負わせられます。だから、プレイヤーはばくだんいわと出会うと「うわっ、嫌だな」って思います。どんなにレベルが高くても、ばくだん岩が出てくると困るわけです。それでばくだんいわは呪文を打たない間は何をしてるかという「ぶきみにほほえんでいる」だけで、何もしてきません。ですから、プレイヤーはばくだん岩が出てきても、ほとんどダメージを追うことなくやっつけられます。しかし、ばくだん岩と出会うのは嫌なのです。実に不気味ではありませんか。

私たちも困ったことがあったら、ヘラヘラ笑っていようではありませんか。
不幸の方が逃げていってしまいます。
今日はヘラヘラ笑いましたか?