ジェットコースター

これまで結構な数の人に「みのりさんってジェットコースターとか嫌いそう」って言われてきました。

びっくりです。私はジェットコースター大好きなんです。だからって世界一怖い絶叫マシンとか誘わないでくださいよ。恐怖のどん底から叫び声をあげたいわけではありませんから。

一度、知人とラクーアの前を歩いていて、あのジェットコースターおもしろそうだねっていう話で盛り上がりました。「じゃあ今からいこう」っていう話になって、すぐ乗り放題のチケットを買ってジェットコースターに乗ったんですよ。平日だからすごく空いてて、全然並ばない。並ばないどころか、乗り終って、走れば次の回に間に合っちゃうんじゃないかっていうぐらい。だから、「走れば次の間に合いそうだよね」「じゃあ走ろう」というわけで、ジェットコースターの降り場から乗り場までダッシュ。乗る頃には息があがっているのですが、ジェットコースターは昇っていく時間がありますから、そこで充分に休憩できるわけです。少し楽になったなっていう頃にはもう楽しい下り坂です。これをひたすら繰り返したわけです。

ジェットコースターってみんなキャーキャー言いますよね。どうして叫ぶかっていうと、怖いからなんです。当たり前ですけど、あれは喜びの叫びでは決してない。怖いから叫ぶんです。中には嬉しくてしょうがなくて喜びの声をあげてる人もいますが、基本的には怖いから叫んでいると思ってよろしい。お化け屋敷と同じ。

人生が仮に何度かあって、やりたい人は何度かやれるとしたら皆さんジェットコースターのように長蛇の列を並ぶでしょうか。

ディズニーランドみたいに待っている間は人生の悲惨なワンシーンを映像で見ながら、待っているわけです。「おいおい、あの上司まじこわくねえか!?」とか「うーわ、あんな可愛いコにふられるのかよ、これは耐えられないかも!!」なんて言いながら待っているんです。

中には途中で怖気づいてしまって、「おれ、急に腹が痛くなってきたから生まれてくるのやめるよ」なんていうのもいるかもしれません。「ちょっとアンタ、もう受胎がはじまってるじゃない、ここでやめるの!?」と一緒に並んでいた彼女。

「すまん、流産で頼む……」と情けない彼氏。

平穏な日々を送った人は、もう一度乗りたいとは思わないかもしれません。なんとか危険なく一生を終えることができたのに、またやり直しなんてできるかバカやろうと思うかもしれません。こういう人はお化け屋敷が本当に嫌で、青ざめてなんとか出てきた人です。

途中で自殺してしまった人は、お化け屋敷の非常口から出てきた人です。時間が経てば、消化不良だったからもう一度挑戦してみるかとなるかもしれません。

喜んでジェットコースターに乗る人は、途中死ぬほどスリリングな場面が何度かあって、全速力で人生を駆け抜けた人に違いありません。

少しくらいスリリングなシーンがないと、もし生まれ変わりがあった時に、やる気がなくなっちゃうかもしれませんよ。

「安全に遊びたいならお家でやりな、未成年 」(『哲也〜雀聖と呼ばれた男』・さいふうめい