アウトロー文芸

ビデオ屋に行くと、店の端っこにアダルトビデオのコーナーがありますね。
アダルトビデオのコーナーはピンク色の暖簾がかかっていて、すごく目立ちます。
その暖簾の直前の場所にはちょっとHなグラビアとかなんだか中途半端なビデオが置いてありますね。
そのさらに前はヤクザだとか任侠モノが置いてあります。
私はビデオ屋に行くと、なぜかこのへんに行ってしまいます。任侠モノのビデオが気になって気になってしょうがない(笑)。
あのへんにあるビデオはパチンコとか麻雀とかギャンブルものかヤクザものです。お洒落なマフィア映画はもっと普通のコーナーにあります。
本屋も知ってる方は少ないかもしれませんが、アウトロー文庫というのがあります。どこにあるかというと、官能小説の近くです(笑)。
以上からどうもアウトローものというのは男性に向けられていることがわかります。
駅のキオスクにもなぜか官能小説とアウトロー文庫が置いてあります。恋愛小説もおいてあります。恋愛小説は基本的には女性が読みます。キオスクはなぜか男女はっきり分かれた本の置き方をしているのです。電車と電車の間隔というのはそれほどありませんから、パッと男なら男の本が、女なら女の本が決められるようになっているのかもしれません。

それで、アウトロー小説とか、アウトロー映画というのは案外におもしろくて、共通しているのは登場人物がほとんど無職ということです。サラリーマンもたまに出てきますが、少年漫画のザコ敵のようにあっという間にやられてしまいます。
それでいてお金の使い方が激しいです。平気で麻雀で全財産かけてしまいます。人の命の重さも世間の認識よりは幾らか軽いものとして扱われます。人がすぐ死にますし、すぐ殴られます。
こういったものを見ると、実にちまちました世界で生きていることを実感させられます。どれ、今度、あのムカつく上司を袋叩きにしてやるかなんて思います。
日曜日に映画をみれば、月曜日はその昂揚がまだ残っています。
どれ、あの課長に一発殴ってやるかと意気込んで会社に行くことができます。しかし、実際に殴ることはできません。そんなことをしたらこれまでちまちました世界で頑張ってきたことが水泡に帰してしまいます。
ですが、それでいいのです。憂鬱な月曜日の朝を意気揚々と出発できただけでもいいのです。
アウトローな気分になろう。