やってみよう

俺たちに明日はない』(原題:Bonnie and Clyde)という映画があって、どういう話かっていうと、日々に退屈していたボニー(女性)の前に自動車泥棒(クライド)が現れる。
「こら、何してるんだ」とボニーがクライドに文句(正当な主張ですが)を言うところから二人は知り合いになり、意気投合して強盗をはじめるわけです。
こうして実にいい加減な二人が強盗をはじめると、これが案外にうまく行く。次第に仲間も増えていき、世間を賑わす大強盗団になっていくわけです。
驚いたことにこれは実話らしいのですが、それはさておき、泥棒らしい男が現れ、そういった男と意気投合するというボニーは実に適当な女です。また強盗も何の計画もなく、「やれるもんならやってみなさいよ」と言った次の瞬間にクライドが強盗をします。それを見て、ボニーは「まァ素敵! 一緒に強盗をしましょう」と実に適当です。
しかし、時には適当だとかいい加減というのは、大胆な行動を可能にします。例えば、宝くじというのは期待値が世界的なギャンブルの中でも異様に低いとされるものです。期待値が低いというか、国や自治体が法外なテラ銭をもっていきます。よく考える聡明な人は宝くじ売り場の前で、よく考え、株やFX、競馬、麻雀、ポーカーなどと比較し宝くじを買うべきか考えます。そして宝くじは買いません。だからといって、麻雀や競馬をやるわけでもありません。考えれば考えるほど、何もしないほうがいいだとかやめておおこうという結論をだしがちです。
ですが、よく言われるように、宝くじは買わなければ当たりません。それもまた真実です。

資格試験などもそうです。大学に入ったばかりの頃、法学部の学生なら一度くらい司法試験への挑戦を考えることがあろうかと思われます。商学部の学生であれば、公認会計士という職業が社会的ステータスも高く、給料も高く、ウハウハらしいということは聞いたことがあるでしょう。
しかし、公認会計士であれば超難関の試験である上に合格率は一桁ですし、司法試験に到っては法科大学院への入学が3割、司法試験も3割、そのあとの二回試験も9割程度の合格率。そう考えると30%×30%×90%で、1%を切るという衝撃の事実に気付かされます。おまけに、公認会計士や法曹になりたいかといえば、そうでもない。同じ給料ならテレビ局で働いた方がおもしろそうだ、芸能人と友達になれるかもしれないとかそんなことも考えている。おまけに、就職ならうまいこと気に入られて大した努力もせず、テレビ局に就職できる可能性がないでもない。資格試験や入試となると、そうはいかない。せっかく学歴も高いし、就職で適当に一流企業だけ受けておけばどこかしらに決まるだろう。
こう考えると、じゃあ資格試験はやめておこうとなるのが「合理的」な思考の持ち主です。

ですが、中には野となれ山となれと申しこんでしまい、案外勉強のおもしろさに気付いてうまくいったとか、目の前の宝くじに財布の中の有り金を突っ込んだら、1億あたってたとかそういうこともあるかもしれません。

そうです、考えれば考えるほど、動かなくなります。どう考えてもオイシイ選択ならみんなやります。みんなやることは、結果としてその内実に比べて難しくなります。
だからオイシイことをするには、一定の思い切った判断が必要です。思い切った判断をするには、ある程度の適当さとかいい加減さが必要です。
自称いい加減な人は結構いますけど、私からみていい加減な人は少ないです。みんないい加減にしてもいい範囲でいい加減に行動しています。いい加減に生きてこなかった人、いい加減ではない家庭で育った人は、いい加減な行動をとれません。へっぴり腰です。
だから、普段からいい加減な行動を意識してやらないとできません。
今日は日曜日ですし、何かいい加減なことをやってみてはどうでしょうか。思いつきで行動をしてみてください。
ちなみに、『俺たちに明日はない』の時代とは違うので、いい加減なノリで強盗をしてもまず失敗します。犯罪をするには、一流のビジネスマンよりも知識と実行力が必要な時代になってしまいました。
しかし、強盗以外にもやることはたくさんあります。いい加減なことをやってみましょう。
そうですねえ、ひとまず、行列ができてるマツモトキヨシで前後のお客さんに、どうでもいい話をしてみるとかどうですか。友達を誘って、手ぶらで山でも登ってみるとかどうですか。喉が乾いたら降りればいいじゃないですか。行きにジュースでも買えばいいし。後は温泉行くとかどうですか。何か思いついたことをやってみましょう。今日はせっかくの日曜日です。考えすぎると一日が終わってしまいます。だから、何でもいいからやってみましょう。近所の本屋に行くとかマッサージに行ってみるとか。今から突然箱根に行く。どこかに入ろうとして予約がないって断られたら帰ってくればいいじゃないですか。

ありがとうございました。